【連載:北欧、大人のぶらり旅】おいしいごはんと、旅の記憶。Vol.6
Vol.6 ストックホルムの蚤の市で、古い地図を見つける ~160年前の紙との出会い~
飛行機で1時間ほど飛んで、スウェーデンのストックホルムへ。
「北欧のベネチア」なんて呼ばれるだけあって、14の島からなるこの街は、水の上に建物が浮かんでいるみたいで本当に綺麗です。
街並みはゴミひとつ落ちてなくて、どこか背筋が伸びるような上品な雰囲気。ヘルシンキの素朴さとはまた違う、洗練された都会の空気を感じました。
■ ガムラスタンの蚤の市にて
石畳の路地が入り組む旧市街「ガムラスタン」。
その近くで、週末だけやっている蚤の市(Loppis)があると聞いて、ふらっと立ち寄ってみました。
いろんなガラクタ…いや、宝物が所狭しと並んでいます。
古着、食器、よくわからない置物。
そんな中で、あるブースの地面に置かれた段ボール箱に目が留まりました。
中には古い紙の束が無造作に入っていて。
なんとなく気になってパラパラめくっていたら、ハッとするものが出てきたんです。
1枚は、1861年と記されたストックホルムの古地図。
もう1枚は、1630年代のものだという、古い船の図面。
紙はすっかり焼けてセピア色になってるし、端っこも少しボロボロです。
でも、そこに描かれた線がものすごく繊細で、インクの乗り具合がたまらなく良い雰囲気だったんです。
お店のおじさんが「これは昔のストックホルムの姿だよ」「こっちはこの近くの港の船だ」なんて教えてくれて。
その時、ふと頭の中で映像が浮かびました。
「これをうちの額縁に入れたらよいかもしれない」
ピシッとした新品の額縁じゃなくて、ちょっと節のある木のフレームに入れて、部屋に飾ったら……。
想像しただけでワクワクしてきて、「よし、これだ」と思って迷わず買いました。
これが、今回の「Nordic Frame Collection」の始まりです。
旅先での買い物って、一期一会ですよね。
あの時、あの段ボール箱を覗かなかったら、この出会いはなかった。そう思うと、この古ぼけた紙切れが、急に愛おしい宝物に思えてきました。
次回は、世界最古の野外博物館「スカンセン」へ。そこで食べた素朴なパンの味が、また素晴らしかったんです。