【連載:北欧、大人のぶらり旅】おいしいごはんと、旅の記憶。Vol.4
Vol.4 予約必須の名店で食べた、感動の黒パンとスープ ~素材への敬意を感じる、タリンの美食~
タリンの旧市街を歩き回ってお腹が空いた私たちは、予約していたレストラン「Rataskaevu 16(ラタスカエヴ・クースティスト)」へ向かいました。
ここ、世界中からお客さんが来る超人気店らしくて、日本を出発する前から「ここだけは絶対に行きたい!」と予約を入れていたんです。
■ 衝撃的な美味しさ
お店に入ると、古いレンガや木の梁(はり)を活かした内装がとても素敵で。
でも、気取った感じはなくて、店員さんもすごくフレンドリー。「ようこそ!」という温かい空気に満ちていました。
ここで最初に出てきたのが、自家製の黒パン(Leib)です。
フィンランドやエストニアでは定番のパンなんですが、ここのは別格でした。
温かくて、ふわっとしていて、少し酸味があって。そこに特製のバターをたっぷり塗って食べると……もう、言葉が出ない美味しさ。
「なんだこれ、ただのパンじゃないぞ」と、一口目で衝撃を受けました。
続いて頼んだスープも、見た目はすごくシンプル。飾り気もないんです。
でも、スプーンで一口すくって飲むと、野菜や肉の旨味がじわーっと体に染み渡るような、深くて優しい味がするんです。
小手先のテクニックで見せる料理じゃなくて、素材そのものの力を信じている味。
「ああ、美味しいものを食べるって、こういうことだよな」
元料理人として、なんだか初心に帰らされるような、素材への敬意を感じる一皿でした。
■ 窓から見える景色もごちそう
食事をしながらふと窓の外を見ると、石畳の道を歩く人たちや、古い建物の窓辺に飾られた花が見えます。
美味しい料理と、心地よい空間、そして窓の外の美しい景色。
五感すべてが満たされるような、本当に幸せなランチタイムでした。
「ここに来るためだけに、またタリンに来てもいいかもしれない」
本気でそう思うくらい、素晴らしい体験でした。
■ カフェ「Maiasmokk」でひと休み
食後は、タリン最古のカフェと言われる「Maiasmokk(マイアスモック)」でちょっと一休み。
クラシックで重厚な内装の中で、甘いケーキとコーヒーを。
昔の貴族たちもこうしてここでお茶を楽しんでいたのかな、なんて想像しながら。
帰りのフェリーでは、心地よい疲れと共に、美しい夕日(といっても白夜なので明るいですが)を眺めながらヘルシンキへ戻りました。
次回は、フィンランドといえばやっぱりこれ。「サウナ」での整い体験と、静寂の教会についてお話しします。