【連載:北欧、大人のぶらり旅】おいしいごはんと、旅の記憶。Vol.3
Vol.3 フェリーで渡る中世の街・タリン。石畳の響き ~移動そのものが、最高のエンターテインメント~
ヘルシンキを楽しんだ後は、フェリーで海を渡ってエストニアの首都、タリンへ。
「国境を越える」というと大ごとに聞こえますが、ここでの移動は片道2時間ほどの船旅。感覚としては、ちょっとした遠足みたいなものです。
■ 豪華フェリーでの優雅な時間
このフェリー移動がまた、すごく快適でした。
私が乗ったのは「Megastar(メガスター)」という大きな船だったんですが、中に入ってびっくり。
スーパーマーケットはあるわ、ゲームセンターはあるわ、バーカウンターまであるんです。
移動中も退屈させないぞ、というサービス精神がすごいですよね。
私たちはちょっと奮発して、ビジネスラウンジを利用しました。
窓際の席を確保して、バルト海の穏やかな波を眺めながらコーヒーを飲む。
何もしない贅沢な時間。
「次はどんな街なんだろう」「どんな美味しいものがあるんだろう」と想像を膨らませる、旅一番のワクワクする時間でした。
■ タイムスリップしたみたいな街
タリンの港に着いて、旧市街の入り口にある「ふとっちょマルガレータ」というユニークな名前の塔をくぐると、そこはもう別世界。
まるで中世ヨーロッパの絵本の中に迷い込んだみたいです。
パステルカラーの可愛い建物が並んでいて、屋根はオレンジ色。そして足元には、昔ながらの石畳が続いています。
この石畳、歩くと足の裏にゴツゴツした感触がダイレクトに伝わってくるんです。
正直、スニーカーでもちょっと歩きにくい(笑)。
でも、その不便さがまたいいんですよね。
「何百年前の人たちも、こうして同じ道を歩いていたんだな」
そんな歴史の重みを足元から感じられる気がして。
現代のアスファルトにはない、温かみというか、人間臭さみたいなものが、この街には残っているんです。
街の中心にある「ラエコヤ広場」や、天を突くようにそびえる「聖オレフ教会」。
どこを切り取っても絵になる景色に、カメラのシャッターを切る手が止まりませんでした。
でも、タリンの本当の魅力は、景色だけじゃなかったんです。
次回は、私がこの旅で一番感動したレストランの話をさせてください。あの黒パンの味は、一生忘れないと思います。